ラフマニノフ「ヴォカリーズ」を歌ってみませんか。

2019年1月24日
ピアニストで作曲家のセルゲイ・ラフマニノフをご存知でしょうか。
ロシアの近代音楽を代表するラフマニノフの曲は
情感があふれる旋律で切ない響きが特徴です。
フィギュアスケートでは「ピアノ協奏曲第2番」や「鐘」など
多数の曲が使われています。
今日はラフマニノフのヴォカリーズという曲をご紹介します。
先日、コンサートでピアノの伴奏でフルートの「ヴォカリーズ」を
聴いたのですが、フルートとピアノの演奏がとても素敵だったので、
バージョンは違いますがぜひ聴いていただきたいと思います。
ヴォカリーズというのは歌詞を伴わない発声練習や歌唱法で、
語源はフランス語の「vocaliser(声にする、声だけで歌う)」。
[a]、[u]などの母音で歌うのですが、ラフマニノフは
そのまま題名にしました。
切なさがにじみつつも心が温かくなる旋律の曲です。
オリジナルは声楽曲なのですが、ピアノソロ、ヴァイオリン独奏、管弦楽、
チェロやヴァイオリンなどの独奏楽器とピアノ伴奏によるデュエットなど、
様々に編曲されています。
同じ曲でも楽器によって表情が違います。
ぜひ聴き比べてお楽しみください。
【今日の一曲】
Rachmaninoff 「 Vocalise, Op.34 No.14」
ラフマニノフ 「ヴォカリーズ作品34の14」
https://www.youtube.com/watch?v=wCVejXm8OB0
チェロの響きも美しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QAwETLTAHHM
オーケストラの演奏。
ラフマニノフはリストと並び称されるほどのピアニストでした。
背も高く、大きな手だったそうです。
左手の小指でドの音を押しながら、
親指で1オクターブ半上のソの音を鳴らすことができる、
つまり12度の音程を押さえることができたそうです。
ダイナミックに飛ぶ音をどうやって弾こうかと
指使いを悩んだのもうなずけます。
とてもラフマニノフと同じ指使いでは弾けません。
ロシアに生まれ、チャイコフスキーに憧れ、
モスクワ音楽院でスクリャービンと切磋琢磨したラフマニノフ。
ピアノ協奏曲第2番、交響曲第2番、合唱交響曲「鐘」を作曲し、
熱狂的な称賛を得るのですが、革命の波にのまれて1917年に亡命、
ロシアを離れます。
亡命後も祖国ロシアへの郷愁の念を持ち続けたのでしょう。
第二次世界大戦でナチスに侵攻される祖国を憂い、救援活動を行い、
最晩年はアメリカで癌と闘いながらも亡くなるひと月前まで
演奏活動を続けました。
そんな生涯を思いながら聴くと
メロディーの美しさの奥に、
時代に翻弄されたラフマニノフの思いが
感じられるような気がします。
ぜひメロディーを「ラララ~」「ルルル~」と歌ってみてくださいね。